近視抑制治療について

近視の進行を抑える目薬をご存知ですか?

子供の近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピントの位置がずれることにより生じます。

長時間のスマホやタブレットなど近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻る事はありません。

そのために眼軸長の伸びを抑えることが近視の進行を抑制するために重要となります。

また、高度な近視の場合、回復不可能な視力喪失・黄斑変性・網膜剥離または緑内障に発展する可能性もあると言われています。

近視の進行を抑えるために、いくつかの試みが報告されています。

マイオピン0.01%点眼液とは小児期の近視の進行を軽減させることを目的にアトロピンを0.01%配合させた点眼薬のことで、近視の進行を抑える(眼軸長の進展を抑制する)という点で効果が確認されている治療法の一つです。

また2025年4月より、マイオピン0.01%点眼液では近視抑制効果が得られなかったお子様のためにアトロピンを0.025%を配合させたより高濃度のリジュセアミニ0.025%点眼液という点眼液もご用意しております。

点眼の効果について

シンガポール国立大学の臨床試験で、0.01%アトロピン点眼液の近視抑制効果が証明されています。

マイオピン0.01%点眼液は、最適な超低濃度(0.01%)のアトロピンを点眼することにより、近視の進行スピードを効果的に抑えると同時にアトロピン1%点眼薬で認められた不快な副作用を抑えることができます。

このようなお子様におすすめです

・軽度または中等度の近視の方

・5歳~12歳の学童の方

・3ヶ月に1度通院が可能な方

点眼の対象となるのは、上記に3つに該当する方です。

※12歳以上の方でも治療は可能ですので、ご相談ください。

点眼の特徴

・重篤な副作用の報告はありません

・近視の進行が約60%軽減するといわれています

・日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスなど不要です

・目の遠近調整機能(手元を見る作業)にほとんど影響を与えません

・毎日必ず寝る前に一滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法になります

処方までの流れ

初回:お子様の視力や目の状態などを確認し、診察後に適応があればマイオピン0.01%点眼液(もしくはリジュセアミニ0.025%点眼液)を処方します。

初回は1ヶ月分の処方になります。

1ヶ月後:検査・診察後、副作用など問題がなければ3ヶ月分の処方になります。

3ヶ月後:以後3ヶ月毎に検査、診察のため受診します。3ヶ月分の処方になります。

点眼の使用方法について

寝る前に両眼に毎日1滴ずつ点眼します。

マイオピン0.01%点眼液は1本で1ヶ月間の使いきりとなります。

リジュセアミニ0.025%点眼液は1回分が個包装になっており、1ヶ月分で30個となります。

治療費用について

本治療は保険適応外(自費診療)となります。

 1ヶ月分:マイオピン0.01%点眼液:1本 3300円(税込)

 1ヶ月分:リジュセアミニ0.025%点眼液:30本 4000円(税込)

 検査・診察費:2200円(税込)


※点眼の処方は保険適応外(自費診療)となるため、保険診療と同日に診療や他の点眼の処方はできません。


※マイオピン0.01%点眼液の場合

初回受診時:合計5500円(マイオピン0.01%1本 3300円+検査・診察費2200円)

1ヶ月後受診時:合計12100円(マイオピン0.01%3本 9900円+検査・診察費2200円)

4ヶ月以降受診時:合計12100円(マイオピン0.01%3本 9900円+検査・診察費2200円)


※リジュセアミニ0.025%点眼液の場合

初回受診時:合計6200円(リジュセアミニ0.025%30本 4000円+検査・診察費2200円)

1ヶ月後受診時:合計14200円(リジュセアミニ0.025%90本 12000円+検査・診察費2200円)

4ヶ月以降受診時:合計14200円(リジュセアミニ0.025%90本 12000円+検査・診察費2200円)

マイオピンとリジュセアミニの違い

2025年4月に発売されたリジュセアミニ0.025%点眼液は、参天製薬とシンガポールアイリサーチインスティテュート(眼科領域および視力研究を目的としたシンガポールの国立研究所)により共同開発されました。

今まで近視進行を抑制する点眼としてマイオピン0.01%点眼液が主に国内で流通していましたが、参天製薬が開発したリジュセアミニ点眼液はアトロピン濃度がより高く0.025%含まれています。3年間の治験では近視進行抑制効果がより大きく、持続することが確認されています。

またリジュセアミニ0.025%点眼液は1回分ずつ容器にパッケージされ使い捨てになっており、防腐剤を入れなくても長期保存が可能になりました。

リジュセアミニ0.025%点眼液は、5歳から18歳くらいまで長期の使用が想定されており、何年にもわたる長期使用の場合には防腐剤が角膜に影響を及ぼす可能性があります。

このリスクを考慮して防腐剤フリーになっている点がリジュセアミニ0.025%点眼液の優れた特徴です。

よくあるご質問

Q1:点眼の副作用はありますか?

A:アトロピンは瞳孔を広げる作用があります。アトロピンを0.01%配合させたマイオピン0.01%も同様にまぶしさを感じる場合がありますが、就寝前に点眼すれば朝には元に戻ります。しかしアトロピンを0.025%配合させたリジュセアミニ0.025%使用時など、特に起床後まぶしさを強く感じる場合には、前日の点眼時間を早めていただくなど調整が必要になります。


Q2:治療期間はどれくらいになりますか?

A:年齢にもよりますが、まず2年間使用していただき効果をみるというのが望ましいと考えています。また近視が進行する可能性のある18歳まで継続しての使用をお勧めしてします。


Q3:効果がない方もいますか?

A:残念ながら効果がでづらいと考えられる場合もあります。当院では3ヶ月毎の定期検診時に効果判定をしながら治療の継続をするかご相談をさせていただいております。


Q4:点眼を中止するとどうなりますか?

A:最近の研究では、2年以上点眼しなくても効果は維持できていますが、中断後に近視が再度進行したデータも出てきております。


Q5:視力は回復しますか?

A:基本的には近視が進まないようにする治療であり、視力を回復する治療ではありません。近視の進行を防止し、視力が悪くならないようにするための治療とご理解ください。


Q6:12歳を過ぎているお子様も治療を受けることは可能ですか?

A:現在までにされている報告は4~12歳を対象にしたもので、臨床的なデータがありません。しかし12歳を超えても近視は進行しますし、低濃度アトロピン点眼は近視の進行を抑える可能性があります。治療を希望される場合には御相談ください。


Q7:メガネやコンタクトレンズとの併用は可能ですか?

A:可能です。コンタクトレンズは外した後に点眼をして下さい。


Q8:気を付けることは何ですか?

①起床時の瞳孔の確認

初めて点眼を開始する場合は、朝起きたお子様の瞳孔が開いていないか確認をしてください。もし瞳孔が開いていても通常の生活をしても問題はありませんが、薬の作用が切れるまではまぶしさを感じたり、いつもより近くが見づらくなる可能性があります。その場合は、就寝前ではなく夕食時など夜の点眼時刻を早めて調節をする必要があります。

②点眼薬の使いまわしについて

この点眼に限ったことではありませんが、使い回しはしてはいけません。たとえ兄弟であっても、感染症が発生することがあります。

③点眼薬の使用期限

点眼薬は開封したら1ヶ月で廃棄してください。防腐剤が入っていますが細菌は倍々で増え、最初は少量でも後期では爆発的に多くなります。感染予防のために多少残っていても1ヶ月で破棄してください。


何かございましたら当院スタッフ、もしくは医師までお気軽にお問い合わせください。